箱詰めの自動化・省人化方法

目次
続きを読む

手動箱詰め作業の課題

作業員に大きな負荷がかかる

箱詰め作業では、長時間同じ姿勢で同じ動作を繰り返す必要があります。作業員の身体にかかる負担が大きいため、腰痛や腱鞘炎などの労働災害につながりやすいのです。また、単純作業の繰り返しと身体の負担によって、集中力を保つのが難しい傾向にあります。

人手不足になりやすい

箱詰め作業の現場は身体にかかる負担が大きく、単純作業の繰り返しによる飽きや精神的な疲労感も蓄積しやすいもの。そのため、人員を増やそうにも応募が少ない、新しく人が入ってもすぐに辞めてしまう等の課題があります。

品質や生産効率がバラバラ

箱詰め作業を手動で行う場合、作業員によって経験やスキルが異なるため、詰め方の質や生産効率を統一するのは至難です。作業員が手作業で一つ一つ箱に詰めるため、部品・製品の数量を間違えたり、箱詰めの向き・位置がズレたり、作業中にキズや汚れがついたりする人的ミスも起こりやすくなります

ロボット導入・自動化の
メリット

作業員の負担軽減

箱詰め作業をロボットに一任できるため、作業員は段ボールの補充や封緘後の製品の取り出し、検品などの作業に専念できます。そのため、身体的負担や精神的負担を大きく軽減できるでしょう。

箱詰め・梱包ラインの省人化

複数人で行っていた作業をロボットが対応してくれるため、箱詰め・梱包ラインを1人で担当できるようになります。作業員のシフト管理もスムーズになるでしょう。少人数で現場を回せるようになるため、人件費のコストダウンにもつながります。

品質安定化と生産性向上

自動化することで人的ミスがなくなり、詰め方の質が安定化します。手作業と比較して生産性も向上するでしょう。吸着やチャッキングなどの技術が搭載されている箱詰めロボットなら、箱詰め作業中に製品が損傷するリスクも抑えられます。

箱詰め自動化・省人化の主な機械・システム種類

箱詰め工程の自動化には、目的や製品の特性に応じてさまざまな機械・システムが存在します。それぞれの特徴を理解したうえで、自社に合った選択をすることが重要です。

機械・システム 速度 対応サイズ 価格帯 おすすめの用途・業界
自動製函機 中〜高速 機種により限定的 100万〜500万円 段ボール全般・あらゆる業界の製函工程
専用ケーサー 高速〜超高速 機種ごとに固定 500万〜2,000万円 段ボール・食品や飲料など大量生産品
ロボットケーサー 中〜高速 柔軟に対応可 500万〜3,000万円 段ボール・多品種少量の食品・日用品
協働ロボット 中速(やや遅め) 柔軟に対応可 200万〜800万円 化粧箱・化粧品や医薬品の小ロット箱詰め
自動封函機・印字機 高速 調整範囲あり 50万〜300万円 段ボール・封函が必要な全業界
AMR・パレタイザ 中速 箱サイズに依存 500万〜2,000万円 段ボール・物流センターや重量物を扱う製造業

自動製函機(ケースフォーマー)

平らに折りたたまれた段ボール(ブランク)を自動で立体に組み上げ、底面をテープやホットメルトで封する機械です。
箱詰めラインの「入口」にあたる工程を担うのが特徴といえます。手作業では時間を要する製函作業を機械化することで、後続のロボット工程とのタクトタイム(処理スピード)を揃えることが可能です。

段ボールケーサー(専用ケーサー)

製品を段ボールへ自動で詰め込む専用機です。大きく「縦型ケーサー」と「ラップアラウンドケーサー」に分類されます。
縦型は汎用性が高く広く普及している一方、ラップアラウンドはブランクシートで製品を包み込みながら成形・封函を同時に行うため、側面からの充填が難しい製品に適した構造です。処理速度と安定性に優れる反面、製品形状が大きく変わる際の柔軟性には限界があります。

ロボットケーサー(パラレルリンクロボット・多関節ロボット)

ロボットアームの先端にハンド(エンドエフェクタ)を取り付け、製品を把持・箱詰めするシステムです。
プログラムやハンドの交換だけで多様な製品に対応できるため、多品種少量生産に強みを発揮します。天吊り型のパラレルリンクロボットは可搬重量に制限があるものの、ビジョンセンサと組み合わせることでコンベア上を流れる不規則な製品を高速でピッキングできるため、食品工場などで広く導入されています。

協働ロボット(Cobot)

作業者と同じ空間で稼働することを前提に設計されたロボットです。接触を検知すると自動停止する安全機能を備えており、従来の産業用ロボットに求められた安全柵が不要となるため、既存ラインへの組み込みも容易に行えます。スペースに余裕のない工場や、自動化の第一歩として部分的に導入したいケースに適しています。

自動封函機(カートンシーラー)・印字機

箱詰め後の上蓋をテープやホットメルトで封し、ロット番号や賞味期限を印字する工程を自動化する機器です。
補助的な工程ではあるものの、ここで滞りが生じるとライン全体の生産性に影響が出るため、前後の工程との処理速度のバランスを保つことが重視されます。

AMR(自律走行搬送ロボット)・パレタイザ

封函された箱をパレットへ積み上げるパレタイザと、資材や製品を工場内で自律的に運搬するAMRを組み合わせることで、箱詰めラインの前後を含めた「搬送」の高度な自動化を実現できます。

導入にかかる相場と費用対効果(ROI)の考え方

導入費用の目安

自動化システムはロボット本体だけでなく、センサ・コンベア・製函機などの周辺設備、さらに設計から設置までのシステムインテグレーション(SI)費用が発生します。規模感の目安は次の通りです。

  • 小規模(協働ロボット1台など):500万〜1,000万円
  • 中規模(ロボット複数台+コンベア連携):1,500万〜3,000万円
  • 大規模(製函〜パレタイズの一括自動化):3,000万〜1億円超

また、ものづくり補助金やIT導入補助金などを活用することで、実質的な初期負担を大幅に圧縮できる可能性があります。

導入後のシミュレーション

3,000万円を投資したケースで試算すると、年間削減コスト600万円と増加利益400万円の合計から、保守費300万円を差し引いた年間純利益は700万円と算出されます。

この場合、3,000万円÷700万円=約4年3ヶ月で投資回収ができる計算です。10年間の長期運用を前提とすれば、総利益は7,000万円となり、ROI(投資利益率)は約167%に達する見込みです。

【業界別】箱詰め自動化・省人化の成功事例

食品業界:高速・衛生・過酷環境、3つの壁を同時に突破

食品の箱詰めが難しい理由は明確です。製品が柔らかく傷つきやすい点、工場内が高温多湿または極低温である点、そして衛生基準が厳しくほこりや異物の混入が許されない点が挙げられます。この3点が重なり、長らく機械化の障壁となってきました。

近年は、パラレルリンクロボット(天吊り型の高速ロボット)にカメラを組み合わせたシステムが普及しています。コンベア上をランダムに流れてくる製品の位置・向きをカメラがリアルタイムで検出し、ロボットが追従しながら正確に箱へ投入する仕組みです。手作業を上回るスピードと正確さで、板こんにゃくや冷凍食品のような扱いにくい製品にも対応できます。

ティ・アイ・エスが開発したオートケーサーは、複数のアームを連動させる機構にカメラを組み合わせ、製品の位置や向きのずれをリアルタイムで検知・修正しながら箱詰めを行います。タッチパネルによる段取り替えも容易で、多品種生産への対応力も備えています。

動画引用元:ティ・アイ・エス公式YouTube(https://youtu.be/WblZV45LbiY?si=JcrCHHz4iLs0br1s)

食品〜物流業界:計量・包装・箱詰めをひとつのラインで完結

「袋に詰めて、検査して、箱へ入れる」という一連の工程を、バラバラな機械の集合体ではなく、ひとつの統合ラインとして設計するアプローチが広がっています。

事例として、イシダが提案する冷凍食品ラインが挙げられます。これは、組み合わせ計量機による高精度な重量管理から始まり、縦型ピロー包装機での袋詰め、金属検出機・異物検査機を経たうえで、オートケーサーによる自動箱詰め、そして最後はパレタイザで積み上げるまでを一気通貫で自動化したシステムです。各工程が連動するため、人が介在するポイントを大幅に絞り込むことができ、省人化と品質の安定を同時に達成しています。

動画引用元:イシダ公式YouTube(https://youtu.be/Ixysgfam3MU?si=0GNsYsKAy1BOC-nq)

化粧品・医薬品業界:双腕ロボットが「人の手」の繊細さを再現

化粧品や医薬品の製造現場は、衛生基準(GMP)が厳しく、かつ製品サイズや容器形状が頻繁に切り替わるという難しさを抱えています。大きな安全柵を必要とする従来の産業用ロボットでは、限られたスペースへの設置が難しく、また品種切り替えのたびに専門的な再ティーチングが必要になるため、多品種少量生産の現場とは相性が悪い面がありました。

こうした課題の解決策として、協働ロボットが広く活用されています。化粧品・医薬部外品を手がけるマンダムは、試供品のボトル詰め作業に人と共同で作業できるロボットを取り入れました。設置自由度の高さと操作の容易さを活かし、多品種少量生産に対応できる柔軟な生産ラインを構築しています。また、歯磨き粉のOEM製造工場でも協働ロボットをパッケージングラインへ投入した結果、工程の生産性が約30%向上し、安定稼働と人員の付加価値業務へのシフトを同時に実現しました。

協働ロボットの大きな強みは、台車やAGVに載せて工場内を移動できる「モバイル運用」にあります。午前はAラインの箱詰めを補助し、午後はBラインへ移動して別工程を担当する——こうした柔軟な使い方ができるため、設備稼働率を高めやすい点も評価の理由です。ただし、クリーンルーム対応の機種選定や導入時のリスクアセスメントは、確実に行うことが求められます。

動画引用元:ユニバーサルロボット(https://youtu.be/hR496AYYrBU?si=J9GJ6IbyC-qLYt34)

箱詰め自動・省人化の機械導入のポイント

箱詰め自動化ラインのの構成イメージ図

自動化を成功させるためのポイントとして、以下の3点が挙げられます。

  1. ライン全体をひとつのシステムとして設計する
    ロボット単体の処理能力が高くても、製函や封函がボトルネックになれば全体のスピードは上がりません。
    前後工程との同期設計が重要です。
  2. 物理的なバラツキを機械的に吸収する
    段ボールの寸法は湿度やロットで微妙に変化します。
    ガイドやストッパーに余裕を持たせ、現場の「ブレ」を機械的に吸収できる設計が求められます。
  3. ピーク時に合わせた過剰投資を避ける
    繁忙期の物量を基準に設備を選ぶと、閑散期に設備の稼働率が低下し、ROIが悪化します。
    平常時の物量をベースに設計し、ピーク時は人手で柔軟に補う体制も選択肢のひとつです。

箱詰め自動化・省人化に関してよくある質問

Q. 自動化の経験がない工場でも使いこなせますか?

協働ロボットなど最新の機器は、アームを手で動かして動作を覚えさせる「ダイレクトティーチング」に対応しており、専門的なプログラミング知識が不要なケースも多数あります。
システムインテグレータ(SIer)と構想段階から連携することで、操作トレーニングまでの包括的なサポートを受けることが可能です。

Q. 複数の製品サイズを1日に切り替えて使えますか?

可能です。多くの機器には「レシピ機能」が搭載されており、製品サイズや箱パターンを事前登録しておけば、タッチパネルで選択するだけで段取り替えが完了します。

Q. 稼働中のトラブルをリアルタイムで把握できますか?

IoT連携により、稼働率・不良品数・異常停止をモニターで可視化できます。
軽微な停止(チョコ停)が発生した際にも迅速に管理者端末へアラートを送る仕組みを構築でき、少人数体制でも安全な監視が可能です。

【業種別】
オートケーサー
(インケーサー)3選

オートケーサー導入を検討中の企業に向けて、効率化・コスト削減を最大化するための製品を紹介します。
各社で仕様や推奨される業界が異なるため、それぞれの特長と適した用途を自社ニーズと照らし合わせてご覧ください。

食品工場
様々なパッケージに対応
ティ・アイ・エス社オートケーサー
ティ・アイ・エス オートケーサー
引用元:ティ・アイ・エス公式HP
(https://www.tis-web.co.jp/faindex/item_detail.php?id=10)
食品工場におすすめな理由
  • フルオーダーメイドにより1台で多品種に対応するため生産ラインの変更が不要
  • HACCPへの対応はもちろん、各企業が求める衛生基準・安全基準をクリアした仕様で納入
日用品製造工場
2箱同時詰めで素早く大量生産
イシダ社高速モデル ACP-622
イシダ 高速モデル ACP-622
引用元:イシダ公式HP
(https://www.ishida.co.jp/ww/jp/products/box-packing/autocasepacker/acp-622.cfm)
日用品製造工場におすすめな理由
  • 最大120袋/分の2箱分同時詰めで季節需要やキャンペーンに対応
  • 部品のワンタッチ交換で品種切替も3分で実現するため、大量生産が必要な日用品製造工場との相性が良い
医薬品製造工場
オープンフレームで衛生的環境を維持
ユハラエンジニアリング社CF-102
ユハラエンジニアリング CF-102
引用元:ユハラエンジニアリング公式HP
(https://www.yuhara-engineering.com/cf102)
医薬品製造工場におすすめな理由
  • アンダーオープン構造で異物検知しやすく、異物混入対策になる
  • 剝がせない「水貼りテープ(オプション)」で改ざん防止に対応